暮らしの中で、もはや当たり前の事として成り立ちつつある「老老介護」という言葉があります。
これは、65歳以上の要介護者を65歳以上の高齢者が介護する状態を差しています。
親を介護する65歳以上の子供や、配偶者を介護する65歳以上の高齢者がこれに該当するでしょう。
医療の発展や暮らしの向上によって日本人の寿命が伸びています。
厚生労働省の「簡易生命表」(令和3年発表)では、日本人の平均寿命は男性が約81歳、女性は約88歳という結果でした。
老老介護の比率は年々増えており、厚生労働省が発表した令和4年度の国民生活基礎調査の概況では、「要介護者×主となる同居の介護者」の年齢の組み合わせも統計資料として提供されています。
結果を見ると、年齢階級の中で互いに65歳以上割合は約64%、互いに75歳以上での介護の割合は約36.%を占めていることがわかりました。
この比率は、年々上昇傾向にあることも同調査で指摘されています。
団塊の世代と呼ばれる第一次ベビーブームに生まれた人たちが、75歳以上の後期高齢者の世代に差し掛かり、就職氷河期の時代を経験した1970年代に生まれた団塊ジュニアと呼ばれる世代は50歳前後に差し掛かっています。
また、医療技術や介護技術の革新による寿命の向上や、少子化などもあいまって、今後も老老介護の比率は上昇していくと考えられます。
自治体や国などの働きかけにより介護制度が拡充していますが、在宅介護や在宅医療などを促す動きも高まっているため、今後も老老介護の問題は高まっていくでしょう。